なぜ太陽光を直接でなくレーザーへ変換して利用するか?

太陽光の集光性能は、レーザーと比較して悪い。発散角が10mradある。
1mの焦点距離のレンズで集光すると10mmまで集光される。

太陽光の表面温度が6000Kである。ここから出た太陽光をもし集光して物体に当てたとしても
6000Kを超えることができない。(エントロピー増大の法則)
太陽炉では、3500K付近が実現されているが、これが実際の限界である。
この温度で金属・酸化物等の高融点物質を溶かすことは可能であるが、化学反応を生ずることは困難である。



利点
1、高温生成
 一度、レーザー媒質に吸収させ、レーザーに変換すると輝度が高まり集光性能が改善されるため、この温度制限を飛び越えることができる。一般的には連続波への変換が行われているが、パルス化も可能である。パルスレーザーでは、生成温度は数万Kを簡単に超えてしまう。

2、長距離エネルギー伝送
 太陽光がレーザー光に変換され、ビーム広がりが少なくなり、長距離エネルギー伝送が可能となる。

3、その他
 高電界が発生する。



 太陽光を間接的にレーザーへ変換すると?



図 太陽光の間接的なレーザー光への変換と直接的な変換における変換効率の比較

 もちろん太陽電池を用いた太陽光のレーザー光への間接的な変換は可能である。
太陽光を一度太陽電池で電気に変換する。その後、直流電圧変換をDC-DC変換器で行い、励起用のレーザーダイオード(LD)を駆動してファイバーレーザーや固体レーザーを駆動する、という手順を踏むことになる。
ファイバーレーザーのCWレーザーへの変換効率は光ー光で85%程度で、パルスレーザーへの変換はそれよりも低くなる。
固体レーザーの効率は、その半分以下である。


間接的な変換方法には、以下に示す大きな欠点がある。

1、変換効率が1桁 (図に示すとうり)
2、多段構成を行う必要があり、装置が大きくなり、構造が複雑
3、高コスト