研究テーマ一覧
関西大学システム理工学部
電気電子情報工学科 超高周波工学研究室
太陽光励起レーザーの有用性については別の箇所で述べたが、さまざまなコストを考慮すると太陽光からレーザー光への変換効率が高くなければ多くは応用として成立しない。現在、高効率・長寿命・高出力の太陽光直接励起レーザーの開発を進めている。地上での実用化や、将来の宇宙活動に向けて技術力の向上を計っている。
レーザー開発(Laser Development)
新規太陽光励起レーザー材料の開発に関する研究
Nd/Cr:YAGセラミックレーザーは、太陽光からレーザーへの変換効率の高い極めて優秀な太陽光励起用レーザー材料である。しかし、太陽光の紫外線成分によるソラリゼーションの問題が指摘されている。Ceを添加すれば紫外線成分のレーザー光生成への寄与やソラリゼーション防止が可能となる。Ce/Nd/Cr:YAGセラミックレーザーにおける各種の光学特性を明らかにする。
Nd/Cr:YAGセラミックレーザーのクロス緩和効果に関する研究
物体から黒体放射により電磁波が放射されるのは1世紀以上前からの周知の事実である。これは、材料の格子振動(フォノン)によるものであり、熱エネルギーが光へと変換される過程である。Nd/Cr:YAGセラミックレーザーでは、遷移金属Crにおいてフォノンと電子が結合してNdへエネルギーを高効率で渡す。ここで誘起されるNdのクロス緩和により、高効率な発光メカニズムが存在する。つまり、入力されるのは励起太陽光のフォトンエネルギーで、ここにフォノンの持つエネルギー(熱エネルギー=電気的振動エネルギー)がプラスされてレーザー光を放出する。一般的に、フォノンが発光に寄与すると発光効率が改善することが知られている。高温動作時のクロス緩和効果によるレーザー変換効率の改善について研究を行う。
1kW級高出力太陽光励起レーザーの開発に関する研究
大出力化に対して有効であるアクティブミラー型高出力太陽光励起レーザーの開発を行う。太陽光励起レーザーにおいて光ー光変換効率は重要である。高出力と高効率動作を同時に成立する太陽光励起1kWレーザーの実証を目指す。同時に地上用での太陽光励起レーザーに特化した太陽光追尾システムの開発も行い、太陽光反射材料についての検討も行う。
太陽光励起超短パルスレーザーの開発に関する研究
超短パルスレーザーといえば、一昔前は部屋1つ分ほどの大型のものが主流であったが、近年、高い瞬時光強度を発生する小型fsレーザーが市販されている。しかし、実際にレーザー装置を応用に適応する際、その非常に高い導入コストが大きな壁となることが言われている。これを太陽光励起レーザーで実現できれば低コストのレーザーを構築できる可能性がある。応用先として、レーザーメス等の医療応用、低熱ひずみ加工、原子力分野における極短パルスレーザー誘起価数変換による廃液処理等の非熱応用が考えられる。Nd/Cr:YAGセラミックレーザーでの超短パルスの発生に関して研究を行う。
金属ナノ粒子、 ナノ構造金属 (Metal Nanoparticles, Nano-Structured Metals)
焼成金属(ナノ構造金属)の特徴
(赤字は本研究室で初めて明らかになった現象)
1.基準電位が通常の金属よりも大幅に大 (量子サイズ効果による)
2.酸化しやすい金属(Fe、Cu、Al、Mg、Zn、Si、Ti)のナノ粒子の大量生成が高繰返しパルスレーザー光で可能
低抵抗の金属板の形成が200数十度の低温で可能 ナノ粒子特有の発熱反応が発生
3.通常非磁性である金属に強磁性が発現 (上記金属)
4.磁気共鳴を生じやすい 磁気モーメントのスピン波伝播が容易
5.高周波での電気抵抗の消失(0となる)
6.電磁波(光も含む)の伝播と増幅
7.焼成ナノ金属の比透磁率は1(通常、金属は磁束発生が妨げられるため1以下)
8.電子伝導度を維持し、かつ、フォノンの伝播を阻止
9.その他
金属ナノ粒子の生成
純粋な金属粒子を高温の水に反応させることで水素の発生が可能である。これについては別箇所で紹介したように東工大がMgを用いたエネルギーサイクルの実現のために関連した実験を行っている。この生成した水素は家庭用燃料電池や自動車の燃料電池用の燃料として使用できる。一方、ナノテクノロジと呼ばれるものがある。ナノテクノロジーは、ナノ材料の生産とその応用から成る。金属ナノ粒子の生産方法として多くの方法がある。その中で従来のトップダウン方式とは異なる原子レベルから構築するボトムアップ方式での各種物質の創生が注目を集めている。その1つであるレーザー法により、純粋金属、合成金属、非金属のナノ粒子を制御して作ることが可能となってきている。太陽光励起レーザーを用いれば、輻射や熱伝導損失を低減させ、集光点で約5000Kの高温状態の発生と急速冷却を行うことが可能で、ナノ粒子生成を効率的に行うことができる。太陽光励起レーザーのナノ粒子生成への適用について研究を行う。
我々は、低繰返し、及び、高繰り返しパルス光を用いた液相レーザーアブレーション法を酸化金属の還元に用いている。
金属ナノ粒子を用いた水素製造
金属ナノ粒子焼成板を用いた空気電池
金属から化学的に電力を発生させる金属ナノ粒子を用いたリサイクル可能な空気電池を実現
金属ナノ粒子及び焼成金属の磁性
アルミは非磁性と考えられてきたがナノ粒子化しそのナノ結晶構造を保ちながら金属のすると強磁性に変化
アルミ多結晶体(超凝縮体、ナノメタル)のインダクターへの応用
アルミナノメタルをコア材料としたインダクターの試作
ナノメタルの高周波での電気抵抗の消失
ナノ構造金属、磁気共鳴、負の透磁率,
ナノ構造を持つ金属は、通常の金属と異なる性質を持ち、磁気共鳴の生ずる高周波領域で電気抵抗が消失
金属ナノ粒子ペーストのレーザーによる焼成
レーザー光を用いた超高速焼成技術の開発
液相レーザーアブレーション法を用い酸化金属から還元された金属ナノ粒子をペーストとし、レーザー光により高速焼成
シリコンを用いた光コンピュータに関する研究
シリコンナノ焼成体(可視光を増幅するナノ構造光導波路)を用いた各種研究
(1)シリコンナノ多結晶体を用いた可視発光の蛍光寿命や増幅特性
(2)シリコンナノ多結晶体でのキャリア効果を用いた光スイッチの実験的研究
金属ナノ粒子ペーストによる熱発電
焼成金属ナノペーストを利用した熱発電に関する研究
金属ナノ粒子ペーストを用いたアキシャルギャップ発電機の開発
焼成ナノ金属多結晶を体を用いた薄型アキシャルギャップ発電機の開発
外部コンデンサによる高電圧パルスの発生
他の回路と比較して低コスト・シンプルな立ち上がりの早いのこぎり歯状高電圧パルスの発生
高電圧パルスによる酸化金属微粒子の還元
立ち上がりの早いのこぎり歯状高電圧パルスを用いた液相での高効率な酸化金属還元
渦電流を用いた磁気浮上システムの開発
磁石を用いた磁極回転による渦電流の発生 浮上
レーザー=光ファイバーによる電力伝送
光ファイバーによる電力伝送
レーザーエネルギー伝送(レーザーパワービーミング)
オプティカルフロー法による位置、速度、加速度の計測
磁気車輪浮上特性
磁気浮上推進システムの浮上特性
EHDと静電気推進デバイスの浮上特性
等等の解析
CV(コンピュータビジョン)を用いた画像データ処理による移動体の制御
液中レーザーアブレーション法を用いたハイエントロピー合金の開発
その他
光伝播解析ソフト(LOCCO)の開発
高速フーリエ変換方式
ベッセルビーム
等
レーザー以外の研究